3ステップでOK!採用の始め方ガイド

はじめに:観光業界の採用、まず何から始める?
「採用活動を始めたいけど、何から手をつければいいのかわからない」そんなお悩みはございませんか?
インバウンドの回復や国内旅行の活発化に伴い、今、観光業界は人材の確保が喫緊の課題となっています。しかし、採用活動は人事の専門家だけが行う特別なものではありません。
このガイドを読めば、どなたでも「採用活動の全体像」をつかむことができ、採用活動をスタートさせることができます。まずは難しく考えずに、これから紹介する3つのシンプルなステップに沿って、採用活動を進めていきましょう。
採用活動はたった「3つのステップ」で進められる!
採用活動を成功させるためのフローは、基本的にこの3つのフェーズで完結します。
STEP 1:計画と準備(「誰を、なぜ」採用するのか、土台を固める)
STEP 2:情報発信と集客(作った求人情報を魅力的に伝え、応募を集める)
STEP 3:選考と採用(応募者を見極め、入社を決意させる)
この流れを頭に入れて、さっそくSTEP1に取り掛かりましょう。
STEP 1:計画と準備 ~「誰を、なぜ」採用するのかを明確にする土台作り~
採用活動がブレたり、採用後に「イメージと違った」というミスマッチが起きたりするのは、この計画の土台作りが不十分なことが原因です。事前にしっかり準備を行いましょう。
1. 採用ポジションの明確化
まずは、何のための採用なのかを明確にしてください。
・現在の業務負荷が高すぎるための「業務軽減」が目的ですか?
・新しい旅行プランやサービスを立ち上げるための「事業拡大」が目的ですか?
・抜けたメンバーの穴を埋める「欠員補充」が目的ですか?
目的が明確になれば、そのポジションで「入社後、何をしてもらうか」という業務範囲と期待する役割を具体的に洗い出すことができます。
2. 求める人物像(ペルソナ)の設定
これが最も重要な作業です。ペルソナとは、あなたにとって理想的な人物像を具体的に設定することです。
| 項目 | 具体的な問い | 例 |
| スキル・経験 | どんな業務経験が必要ですか? | 語学力、接客経験、PCスキルなど |
| マインド・志向性 | どんな性格、価値観の人に来てほしいですか? | おもてなしの心、チームワーク、変化への柔軟性、地域への興味 |
| 条件 | 年齢層や雇用形態は? | 長く働きたい意思があるか、シフト対応の可否など |
今、あなたの会社で最も活躍している社員の共通点は何ですか?その人と同じような「人柄」や「志向性」を持つ人が、あなたの求めるペルソナになることが多いです。
3. 採用計画と選考フローの設定
いつまでに、何人採用したいかを決めるだけでなく、応募から内定までの具体的な流れも決めておきましょう。また、求人媒体への掲載料など、必要な採用予算もここで把握しておきます。
| 選考フローの例 | 目的 |
| 1. 応募受付 | 求人媒体などから応募を受け付ける |
| 2. 書類選考 | 履歴書・職務経歴書でペルソナとの合致度を測る |
| 3. WEB面接(1次) | 人柄や志向性、入社意欲を詳しく確認する |
| 4. 対面面接(2次/最終) | 役職者などが、最終的な意思確認と条件提示を行う |
| 5. 内定 | 正式に採用を通知する |
複数社並行して応募することが一般的なため、スピード感が非常に重要です。優秀な人材を他社に取られないためにも、選考はできるだけ短期間(目安:2週間程度)で完了させることをおすすめします。
STEP 2:情報発信と集客 ~「応募したい」と思わせる魅力の伝え方~
土台が固まったら、いよいよ情報発信です。作ったペルソナに響く「ここで働きたい」と思えるような情報を発信しましょう。
1. 自社の魅力を言語化する
給与や休日だけでなく、「観光業ならでは」「自社ならでは」のやりがいを前面に出しましょう。
・お客様の感動を創り出す仕事:「お客様に『ありがとう』と言われる瞬間」や「地域貢献」など、仕事の価値を具体的に伝える。
・職場環境のリアル:職場の雰囲気、立地、チームワークの良さなど、数値化できない魅力を言葉にする。
2. 応募が集まる求人票の作り方
曖昧な表現は避け、入社後の生活をイメージできるように具体的に記載しましょう。
| 悪い例(曖昧) | 良い例(具体的) |
| 「接客業務全般」 | 「チェックイン・アウト対応、客室へのご案内(1日平均10組程度)」 |
| 「やりがいのある仕事」 | 「お客様の旅の思い出を形にするために、おすすめの観光地をご案内します」 |
特に写真は、職場の活気や雰囲気を一瞬で伝える強力なツールです。ぜひ最適な写真を選びましょう。
3. 募集媒体の選び方
どの媒体を選ぶかは、ターゲットによって異なります。それぞれの特徴を理解しましょう。
・大手の求人媒体(エン転職やマイナビ転職など):知名度が高く登録者数が多い一方で、ライバルが多く上位表示させるにはコストがかかります。
・観光業界特化型求人サイト(当サイトなど):観光業界で働きたい意欲の高い層にピンポイントでアプローチでき、比較的リーズナブルです。
・人材紹介サービス:採用工数が大きく減らせることがメリットですが、成果報酬額が年収の35%前後と高額です。
・ハローワーク:費用をかけずに募集できます。
・自社ホームページ・SNS:会社の雰囲気を自由に伝えられるが、集客力は企業規模に左右されます。
STEP 1で決めたペルソナが、普段どの媒体を見ているかを考えて選びましょう。
STEP 3:選考と採用 ~人柄と志向性を見極める面接術~
いよいよ応募者との接触です。選考は「応募者を試す場」ではなく、「相互理解の場」であることを意識して進めましょう。
1. 書類選考で見るべき点
履歴書や職務経歴書からは、設定したペルソナの「マインドの合致度」を測ります。
・志望動機:なぜ他の業界ではなく、観光業界で働きたいのか。その熱意や背景を見る。
・前職の経験:観光業以外でも、接客経験やチームで何かを成し遂げた経験など、共通するスキルやマインドを見て判断する。
「書類上では不合格ラインだったが、会ってみると優秀だった」ということが多々あります。機会損失を防ぐためにも、求める条件と少し乖離があるだけで不合格にするのではなく、できるだけ多くの方と面接することをおすすめします。Web面接の導入も検討し、工数やコストを削減しながら多くの応募者と接触機会を持ちましょう。
2. はじめての面接の進め方
面接官側も、自社の魅力を再アピールし、応募者の入社意欲を高めることが重要です。
・聞くべき質問:
「お客様のどんな行動を見た時に、やりがいを感じますか?」
「チームで働く上で、あなたが最も大切にしていることは何ですか?」
⇒スキルよりも人柄と志向性に焦点を当てましょう。
・質問タイムを設ける:応募者からの質問には丁寧に答え、不安を取り除いてください。
入社後のミスマッチを防ぐため、企業情報や業務内容についてもしっかりと説明しましょう。また、不採用の場合でも、企業の魅力を知ってもらうチャンスとして丁寧に対応することを心がけてください。
3. 内定後のフォロー
内定を出した後、辞退されるのは大きな損失です。スピーディな対応と、入社までの定期的な連絡で不安を取り除き、入社意欲を維持させましょう。
まとめ
採用活動は、特別なスキルを必要とするものではなく、「STEP 1:計画と準備」が最も重要です。この土台さえしっかりしていれば、後はそれに沿って実行するだけです。
最初から完璧を目指す必要はありません。まずは「誰を、なぜ採用したいか」を紙に書き出すことから始めてみましょう。
「採用の始め方ガイド」が、皆さまの採用活動の参考になれば幸いです。